アムウェイの上位会員たちがよく語る「自分が変われば周りも変わる」という金言と、それを心に刻むための「やる気スイッチ」の存在は、まさにアムウェイならではの「成功哲学」に彩られた光景です。たとえば、ある会員が「ドン・キホーテで日用品を買っている人を見て、アムウェイにはまだまだチャンスがあるなと思いました」と話すシーンなどは、まるでそのやる気スイッチが「バチーン」と入った瞬間に近いでしょう。教祖的存在であるクラウンアンバサダーの「あなたが貧乏だから振られたのよ」という一言をきっかけに、会員のやる気スイッチが一気に入ることもまた、アムウェイ流のドラマチックな場面なのです。
この「やる気スイッチ」という言葉には、スイッチが入れば一気にエンジンがかかり、まるでその瞬間から目の前に夢が開けるかのような魔法のイメージがあります。クラウンアンバサダーが一言、「お前が変われば周りも変わるから」と言うだけで、会員たちは自分の中に眠っていた「やる気スイッチ」がオンになる感覚を得るわけです。中には、「スイッチが入った瞬間にダイヤモンドまでの道が見えました!」なんて熱く語る人もいるでしょう。自分を変えることへの覚悟が、このスイッチで一気に引き出されるというわけです。
しかし、この「やる気スイッチ」が面白いのは、ただの一瞬のひらめきでしかないこと。会員たちがスイッチが入ったと感じても、実際にそれを実行し続けるためには、さらなる燃料補給が必要です。アムウェイにおいて、その補給源は主にセミナーやリーダーたちの「成功談話」です。つまり、スイッチが一度入っただけでは足りず、定期的に「リチャージ」しなければならないのです。スイッチが入ったはずが、気づけばそのやる気も薄れかけ、また次のセミナーで再び「スイッチ」を入れてもらう――まるでエネルギー不足のスマホを充電し続けるかのようなものです。
特に、アムウェイ上位会員が語る「スイッチの入った自分が周りを引っ張る」という考え方は、言い換えれば「スイッチが入っていない人々」を一種の「未完の存在」として捉えているようにも見えます。ドン・キホーテで日用品を買う人々を見て、「彼らはまだスイッチが入っていない人たちだ」と判断し、そこにビジネスのチャンスを見出すのもまた、独特な観点でしょう。スイッチが入って「アムウェイの真価」に気づけば、普通のスーパーで商品を買うのではなく、アムウェイ製品を選ぶようになるというわけです。
こうした「やる気スイッチ」の構図の中で、会員たちの成功のカギは、実は自分の中に「アムウェイに適応したスイッチ」を作り、それを何度も「入れ直し続ける」ことにあるのかもしれません。会員たちは「スイッチが入った自分が周りを変えていく」と信じているものの、その周りとはすでにアムウェイに引き込まれたダウンラインであり、結局のところは「自分が影響力を発揮できる相手」に限られていることが多いのです。スイッチが入っても、その影響力が広がるのはアムウェイという枠内に限定されるため、外の世界にとっては「スイッチが入った」ことに気づかれないことも多々あります。
また、この「やる気スイッチ」に依存するスタイルは、セミナーでの「成功体験談」を聞き続けなければ維持できない一面もあり、常に次のセミナーやモチベーションの源を探し求める生活にも繋がりかねません。やる気がどれだけ持続しても、何度も充電が必要であることに変わりはないため、スイッチが入った状態を保つには、ひたすらその「源」を探し続けることが求められるのです。
最終的に、アムウェイの「やる気スイッチ」というのは、ただ入れるだけでなく、常に充電が必要で、次の成功のエネルギーを求めるための終わりなきサイクルに似ていると言えるかもしれません。